保育士試験には『実技試験』もありますね。
私は「造形」を選択しました。
限られた時間の中で一枚の絵を完成させるというプレッシャーで、多少緊張しましたが、結果は合格。
この記事では、実際に受験したときの流れや雰囲気、そしてこれから受ける方へのアドバイスをまとめてみました。
少しでも、これから受験する方の助けになりますように☆
実技試験(造形)の概要

造形試験について詳しく書いていきます
造形の実技は、制限時間以内で保育の一場面を描く試験です。
使用できる画材は基本的に鉛筆と色鉛筆のみ。
絵の上手さよりも
- 保育の場面が正しく描かれているか
- 子どもや保育士の表情・どのような関わり方をしているか
が評価のポイントになります。
「絵心がないから不安…」という方でも大丈夫、造形試験は芸術のテストではありません。
そこで、失敗しないための3つの重要ポイントと最新の傾向を解説します。
最新の傾向と採点基準:求められるのは「伝わる絵」
造形のテーマは毎回、その試験ごとに内容が変わります。
近年の出題傾向は、必ず【事例】として保育の一場面が与えられ、その内容を描写するパターンで固定されています。
(例:園庭で砂遊びを楽しんでいる様子、保育室で紙芝居を見ている様子など)
練習では、『保育園』のいろいろな情景を膨らませておくことが大切です!
採点される3つの重要ポイント
採点基準は非公開です(´;ω;`)
どう描けば正解なのか分からないのは難しいですよね…
しかし、試験概要と過去問分析から、以下の3点が重視されているようです。
実際に受験して感じた「造形」の試験の意義を、私なりにまとめてみました。
1. 情景・状況の描写:問題文を正確に読み取る力
「問題文に書かれている世界を、絵の中に再現できているか」が重要です。
| 対策すべき点 | 具体的なアクション |
| 場所の表現 | 「園庭」なら砂場、遊具、青空、芝生や地面を描く。 「保育室」なら床、壁、窓、棚など室内であることが伝わるように描く。 |
| 季節感の表現 | 「夏」なら半袖、青空、ひまわり、水遊びなど。「冬」なら長袖、落ち葉、暖色系の室内着など、色やアイテムで表現する。 |
| 活動内容の再現 | 事例に「積み木で遊んでいる」とあれば、積み木が絵の中心になるように。 課題にない要素(例:水遊びの場面でブランコ)を描きすぎないように注意。 |
| 空間の表現 | 遠近感を意識し、人物や物がごちゃごちゃしないよう物を分かりやすく配置する。 |
私が考えるには、この『問題文を正確に読み取る力』が造形の一番のポイントではないか?と思います。
提示されたお題を即座に判断して、表現できるか。
そこを「造形」で表現できるのかを求められているのです。

とはいえ、難しく考えすぎずに
まずは描くことに慣れていきましょう!
2. 人物の描写:活き活きとした保育の様子を伝える力
人物の描写は、単に人数を揃えるだけでなく「その場にいる人たちがどう関わり、何を感じているか」を表現できているかも重要です。
| 対策すべき点 | 具体的なアクション |
| 指定の人数 | 「子ども3名以上、保育士1名以上」など、問題で指定された人数を必ず描く。足りない場合は不合格のリスクが。 |
| 関わり(コミュニケーション) | 保育士が子どもに話しかける、子ども同士が顔を見合わせているなど、人物間の目線や体の向きで関わりを表現する。 |
| 動きと表情 | 立っているだけでなく、しゃがむ、走る、座るなど動きに変化を。笑顔、集中している表情などで場の雰囲気を表現する。 |
| 大きさの比率 | 保育士と子どもの身長差など、人物の大きさが不自然にならないよう、適切な比率で描く。 |
3. 色使いと着彩:温かく丁寧な印象を与える力
造形試験は色鉛筆で着彩します。
着彩は絵の印象を大きく左右し、「課題に対しての丁寧さ」を見るポイントでもあります。
| 対策すべき点 | 具体的なアクション |
| 枠内全体を塗る | 背景や地面に白紙の部分を極力残さないよう、画面全体を色鉛筆で塗りつぶす。 |
| 色ムラの回避 | 同じ方向に色鉛筆を動かし、強く塗りすぎず、薄い層を重ねるようにして塗るとムラにならずにきれいに見える。 |
| 明るい配色 | 保育の場面にふさわしい明るい、暖色を中心とした配色を意識する。 暗い色、くすんだ色は最低限の使用に留める。 |
| 影・光の表現 | 立体感や奥行きを出すために、影をつけたり、光の当たっている部分を強調するなどの濃淡は有効。 |
実際の出題テーマ
私が実際に受験した時の出題テーマは、「紙芝居を見ようと集まっている子どもの様子」を描くことでした。
実際に描いた時間の配分は、覚えている限りこんな感じ。
| ステップ | 目安時間 | 注意した点 |
| 下描き・構図決定 | 10分 | 問題文の条件(場所・人数・遊び)を満たす構図をざっと下描き。 薄めのベージュの色鉛筆を使うと、下描き線を消す必要がなく時間短縮に。 |
| 人物の清書・着彩 | 25分 | 人物を先に完成させる。表情や動きをつけて、楽しんでいる様子を表現。 |
| 背景・道具の着彩 | 10分 | 広い面積(空、地面、壁、床など)を塗りつぶす。 |
今思うと、「先生が園児たちに声をかけている様子をきちんと描けるか」がポイントだったのかも。
しかし私は、「紙芝居を読み始めている場面」を描いてしまいました…
描き切った後に「あれ…私まちがえてる??」と思い始めましたが、時すでに遅し。
もうそれでも提出するしかありません!
「ええい、ままよ!」という気持ちで提出しました。
そして一か月後…結果は…
『合格』!!
何とか合格できてほっとしたのを覚えています。
実技の練習について
実技試験は練習が欠かせません。
ここからは、私が実際に行っていた練習法をお伝えします。
- ノートに19センチ×19センチの枠を作成。
- 時間の配分を考えながら、過去問から実際に描く。
- 描き終えたら出題テーマと照らし合わせ、意図をくみ取れているか確認。
- 違うお題を選び、様々な場面を描く。
このような流れを繰り返しました。
私が練習に使用したのは、たまたま家に余っていた無印良品のB5ノート。
新たに買うのももったいなかったのでそのまま使用しましたが、練習に使用するには罫線のないノートや、コピー用紙など無地のものが使いやすいと思います。
100均の無地のらくがき帳などでもOKです。
どんなテーマでもあわてないよう、いろんな場面を想定して描いておきましょう。
実際に描く時のポイント
どんなに上手に描けても、制限時間を過ぎては意味がありません。
あれもこれも、と描こうとすると時間に間に合わなくなるおそれも。
そこで時間をうまく使うコツをお伝えします。
- 人物のパターンは固定する
- 場所にあわせた小物をあらかじめ決めておく
- 描く順番を決めておく

ひとつづつ解説していきます!
1. 人物の絵は固定する
複数の人物を描くときに、ひとりひとり「洋服の色は…」「髪型は…」と考えていたら時間が足りなくなってしまいます。
それを避けるため練習の段階で、自分なりに人物の絵柄は固定してしまいましょう!
いわゆるキャラ設定のようなものですね。
私が実際に決めておいたのはこんな感じ。
(画像準備中)
「保育士」「男の子」「女の子」のキャラを、最低ひとりづつ設定しておくと楽になりますよ。
2. 場所にふさわしいモノをあらかじめ決めておく
これがあるならあの場所だな、とひと目でわかるモノを描くと、そこがどんな場所なのかが伝わりやすくなります。
| 描かれたモノ | 想像される場面 |
| ブランコ、ジャングルジム、花壇、砂場など | 園庭 |
| 幼児用便器、手洗い場、個室の仕切りなど | トイレ |
| 幼児用の荷物棚、荷物かけフック、壁掛け時計、幼児の作品など | 保育室 |
| 落ち葉、カッパを着ている園児たち、プールなど | 季節に応じた遊び |
人物だけでなく、「場面を想像できるモノ」を描く練習もしておきましょう!
3. 描く順番を決めておく
実際の試験では「19センチ×19センチ」の枠内にすべてを収めて描きます。
大きいようで意外と狭いので、すべてを詰め込もうとすると「入り切らない!」なんてことになるかも。
そうならないように、描く順番を決めておきました。
- 構図を決め、指示された人数分の人物を配置。(構図を事前にいくつかパターン化しておく)
- 人物を描きこむ。(子どもや先生の表情・手足の動きに注意する)
- モノを描きこむ。(背景は簡潔に)
- 空や地面、床など広い面を塗る。
いつも同じ流れで練習しておくと、どんな場面が出題されてもモノを変えるだけいいので、迷うことがなくなります。
描くスピードもアップしますよ!
造形試験におすすめの筆記用具
造形試験に必要なアイテムについてお伝えします。
| 持ち物 | ポイント |
| 色鉛筆(12色〜24色) | 発色がよく、芯が折れづらいものがおすすめ。 |
| 鉛筆・消しゴム | 下描き用。薄いベージュなどの色鉛筆で描く方法も。 |
| 腕時計 | 時間の配分のため時計は必須アイテム。置き時計は使用不可。 |
| 定規(人物・キャラクターなどの絵柄が無いもの) | 必須ではないが、保育室の床や壁のラインに使用するかも。(持ち込み可否は受験要項を確認) |
机にはふでばこ(ペンケース)をおくことはできません。
色鉛筆を持ち替えるときにあやまって落としたりしないよう、ハンドタオルなどを敷いてその上に色鉛筆を並べて置くとスムーズに使えます!
私が購入したのは三菱のuni色鉛筆。
勤務していた児童福祉施設で使用していたこともあり、使い慣れていたこちらを購入。
発色がよく、重ね塗りもしやすいです。
造形の試験では人物をたくさん描くので、「うすだいだい(ペールオレンジ)」が好みの発色ものを選びました。
文房具店でバラ売りされていることも多いので、追加で自分の欲しい色を買い足せるのも大きなポイント。
木、床の色、棚や髪の毛など造形試験では茶色をたくさん使うことが多いので、「茶色」のバリエーションが多いのも選択肢のひとつでした!
ユーキャン教材の活用例
私はユーキャンの通信講座を利用しました。
実技試験対策には、その年の課題を反映した「実技試験対策BOOK」という冊子と「実技試験対策CD&楽譜」が自動的に送られてきます。
冊子には実技試験の3分野の具体的なアドバイスや、練習方法がたくさん掲載されています。
造形に関しては、過去の受講生の合格作品がたくさん載っており、「合格する作品はこんな感じなのか」とイメージすることができました。
音楽表現を選択した場合、分かりやすい楽譜がついてくるのはとてもいいなとも思いました。
さらに試験当日の流れも解説しているので、不安がたくさんの実技も安心して臨むことができましたよ。
当日の流れと会場の雰囲気
会場には受験生がたくさんいて、皆さん真剣そのもの。
入室は受付順や受験番号順など会場によって異なるため、早めの到着をおすすめします。
試験が始まると、静まり返った教室の中で紙をめくる音や鉛筆の音だけが響きます。
始めは緊張すると思いますが、描き始めてしまえば没頭して集中できますよ。
あの箇所の色が塗れなかった~!とならないように、制限時間にだけは気を付けましょう!
実技体験のまとめ
保育士実技試験の造形は、「上手に絵を描く試験」ではなく「保育の理解を描く試験」です。
一枚の絵に、自分が大切にしたい保育の気持ちを込めるつもりで描けば大丈夫。
「子どもと保育士の関わり」を意識して描いてくださいね。

